くも膜下出血と訪問マッサージ
こんにちは。福岡県太宰府市を中心に筑紫野市・大野城市・春日市で訪問鍼灸マッサージをしている、たがみ訪問鍼灸マッサージの田上です。
今回は、訪問マッサージを利用するきっかけになる理由で多い、脳血管疾患の中の、くも膜下出血という疾患についてお話ししていきます。
私も今現在、訪問マッサージに伺っている患者様の中に、このくも膜下出血の後遺症で悩まれている方がいらっしゃいます。
目次を作っていますので、読みたい項目まで飛んでください。
それではお話ししていきます。
くも膜下出血とは?
くも膜下出血は、脳動脈瘤(のうどうみゃくりゅう)の破裂(はれつ)が主な原因で、突然の激しい頭痛が特徴的な、命に関わる脳卒中の一種です。
発症すると意識障害や吐き気・嘔吐を伴うことが多く、速やかに脳神経外科のある医療機関を受診し、再出血を防ぐ治療を受ける必要があります。
予防には、高血圧、喫煙、過度の飲酒を避け、生活習慣を改善することが有効です。
くも膜下出血の症状は?
くも膜下出血の症状とは、どんな症状があるのでしょうか。
「突然の激しい頭痛」、「意識障害(意識を失う、朦朧とする)」、「吐き気や嘔吐」が典型的です。
特に頭痛は、「今までに経験したことがないような、バットで殴られたような激しい痛み」と表現されることが多いです。
主な症状
突然の激しい頭痛
「バットで殴られたような」と表現される、突然の激しい痛みが特徴です。
発症した瞬間を自覚していることが多いです。
意識障害
意識を失う、朦朧とする、いびきをかいて寝たようになる、などの症状が出ることがあります。
吐き気・嘔吐
多くの人が吐き気や嘔吐を伴います。
その他の症状
目の痛み、物が二重に見える複視、手足の麻痺、首の痛み、項部硬直、ろれつが回りにくい、などがあります。
危険なサイン(前兆)
出血量や場所によっては、典型的な症状が出ないこともあります。
動脈瘤からの微小な出血が原因で、発症前に「突然の軽い頭痛」を繰り返すことがあります。
これは「前ぶれ頭痛」とも呼ばれ、見逃しやすいので注意が必要です。
くも膜下出血の後遺症とは?
くも膜下出血は、命に関わる大変な疾患ですが、その後遺症にも苦しめられのも事実です。
くも膜下出血の後遺症にはどんなものがあるのでしょうか。
くも膜下出血の後遺症は、運動麻痺(うんどうまひ)、感覚障害(かんかくしょうがい)、高次脳機能障害(こうじのうしょうがい)、言語障害(げんごしょうがい)、嚥下障害(えんげしょうがい)、視野障害(しかくしょうがい)、感情・性格の変化など多岐にわたります。
これらの症状は、出血部位や出血量によって異なり、リハビリなどによって改善が見込まれることもあります。
身体的な後遺症の症状
運動麻痺
手足が動かしにくくなる、麻痺が残る。
感覚障害
しびれや脱力感。
視野障害
視野の一部が欠ける、狭くなる。
嚥下障害
物がうまく飲み込めない。
歩行不安定
麻痺によって歩けなくなる方も多いですが、もし歩けるとしても歩き方が不安定になる。
排泄障害
尿や便失禁。
精神的・認知的な症状
高次脳機能障害
記憶力、集中力、判断力などの低下。
言語障害
言葉がうまく出てこない、理解できない(失語症)。
感情の変化
うつ病などの気分の落ち込み、感情の変動、意欲低下。
睡眠障害
睡眠の質が低下したり、不眠や過眠になる。
その他
てんかん
繰り返し発作が起こることがある。
水頭症
脳脊髄液がたまり、脳を圧迫する状態。
くも膜下出血の後遺症の出方は、脳のどの部分がダメージを受けたかによって、症状は変わってきます。
早期からのリハビリや適切な医療ケアによって、脳の機能が回復したり、他の部分が機能を補ったりする脳の可塑性が働き、改善が見込めますが、個人差があり、症状の程度や回復には時間がかかる場合が多いです。
くも膜下出血の原因は?
くも膜下出血になる原因にはどんなものがるのでしょうか。
くも膜下出血の主な原因は、脳動脈瘤の破裂で、これが80〜90%を占めます。
脳の血管が風船のように膨らんだ動脈瘤が、血流の圧力によって破裂し、くも膜下腔に出血します。
その他には、脳動静脈奇形や頭部の外傷などが原因となることもあります。
主な原因
脳動脈瘤の破裂(80〜90%)が主な原因です。
血管の分岐部などが弱くなり、風船のように膨らんだ部分が破裂するものです。
破裂するまで自覚症状がないことがほとんどです。
高血圧、喫煙、過度の飲酒などの日々の生活習慣が破裂のリスクを高めるといわれています。
その他の原因
そのほかの原因には、脳動静脈奇形という先天的な脳血管の異常もあります。
また、交通事故や転倒などで頭を強く打ったことによる、頭部外傷も原因になります。
くも膜下出血の治療は?
くも膜下出血の主な治療法は、出血源となる動脈瘤を閉鎖する「開頭クリッピング術」と、カテーテルで行う「コイル塞栓術」です。
その他、全身状態の安定化、血圧の管理、脳血管攣縮の予防、水頭症の治療などを行います。
主な治療法
開頭クリッピング術
頭蓋骨の一部を切り、直接動脈瘤を確認して、金属製のクリップで動脈瘤の根元を挟んで血流を遮断する手術です。
コイル塞栓術
太ももの付け根の血管からカテーテルを挿入し、脳動脈瘤まで到達させます。
カテーテルを通して、動脈瘤内にプラチナ製のコイルを詰めて血流を遮断します。
開頭の必要がなく、体への負担が少ないとされています。
その他の治療
血管内治療(フローダイバーター治療など)
コイル塞栓術が難しい場合などに選択されることがあります。
脳槽ドレナージ
脳にたまった血液(血腫)を取り除くための管を留置することがあります。
シャント留置術
くも膜下出血後に脳に水がたまる「水頭症」が起きた場合、脳から髄液を排出するために行われることがあります。
急性期の全身管理・合併症予防
全身状態の安定化
気管にチューブを挿入して人工呼吸器を使用するなど、呼吸や循環を管理します。
血圧の調整
血圧を安定させます。高すぎると出血が悪化するリスクがあり、低すぎると脳への血流が不足するリスクがあります。
脳血管攣縮の予防
出血から数日後、脳の血管が細くなる「脳血管攣縮」が起こることがあり、これを防ぐため、血圧の管理や血管を広げる薬剤を使用します。
痛み止め
頭痛を和らげるために鎮痛薬が使われます。
便秘の予防
いきむと血圧が上がってしまうため、便を柔らかくする薬が使われます。
後遺症に対するリハビリテーション
くも膜下出血では一命は取り留めても、後遺症に悩ませられることが多いです。
ですので、後遺症に対するリハビリテーションも治療の一部になります。
立つ、座る、歩くなどの「基本的な動作能力」の回復を目指す理学療法によるリハビリ。
食事、入浴、着替えなどの「応用的な日常生活動作」や社会復帰を支援する作業療法によるリハビリ。
話す、聞く、食べるなどの機能の回復のための言語聴覚療法によるリハビリ。
このようなリハビリテーションが必要になります。
くも膜下出血とマッサージ
それでは、くも膜下出血とマッサージについて。
くも膜下出血を発症してすぐというより、後遺症に対してのマッサージになります。
くも膜下出血後は、麻痺が残ったり、関節が固くなる関節拘縮(かんせつこうしゅく)になる可能性が高いです。
ですので、その症状に対してがメインになります。
そして、痛みや痺れに対してのマッサージはとても有効です。
痛みや痺れは、血行を促進することで症状が軽減されることが多いです。
また、関節拘縮についても、マッサージで血行を促進することで柔らかさが出てきやすいです。
マッサージだけでなく、関節可動域訓練を一緒にやっていくことが多いので、どんどん硬くなってくる関節拘縮に対しての効果は大きくなります。
リハビリと、マッサージの両方を取り入れていくと症状の緩和が大きいと思います。
まとめ
くも膜下出血は、命に関わる疾患です。
一命を取り留めたとしても、後遺症は高確率で残ります。
ですので、後遺症に対する対策がとても重要になります。
リハビリとマッサージの両方を一緒にやっていくことで、症状緩和の効果は大きくなるでしょう。
今回は、くも膜下出血についてお話しさせていただきました。
それではまた。